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10/19/2011

宮城へ①。スコップ団編。

どうも、近藤です。
宮城1日目は、また後日アップします。

先週末は、東日本大震災の被災地、宮城にいた。
滞在2日目、ずっと気になっていた活動に参加するため、
太平洋に面した山元町に向かった。
仙台駅からは、車で南へ1時間ほどの距離にある。


集合場所は山下駅。
3.11に津波に襲われ不通になり、荒れ果てて、草が生い茂る線路。
人の気配は消え、あのときのまま、時が止まっているかのようだった。

しかし、ここ山元町で、
津波による絶望的な状況を、「一歩」でも、「半歩」でも、
前へ進めようと奮闘するボランティア団体がある。

『スコップ団』。
津波によって破壊された家屋の泥かきや、
瓦礫の撤去などを目的として、主に週末に活動しているチームだ。
これまでに150軒以上の家をきれいにしてきた。

この日、全国から集まったスコッパーはおよそ50人ほど。
その半数ぐらいは県外からの参加で、
福岡や静岡や富山、東京などなど・・・。
私のように女性一人で参加している人も多かった。


駅に現れたスコップ団のトラックには、スコップのほかに、
ほうきや、デッキブラシ、ちりとり、高圧洗浄機などの七つ道具が、
どっさりのっていた。

集合してすぐに、その日、アポイントをとっていた近くの家まで移動。
到着して、目の前の途方に暮れるような光景に、
一瞬立ち尽くしてしまった。
壁や窓が、跡形もなくどこかへ押し流されている。
一階の天井まで津波に襲われ、
泥や、ガラスの破片や、丸太とか、すでに原型をなさない家具や、
様々な漂流物でめちゃくちゃになった家。
(ショックが大きく、写真撮影は自粛。)

まずは団長が、何も言わずに作業に取りかかる。
その姿を合図に、スコッパーたちが、一斉に動き出す。
特に指示など出ないのが、スコップ団。
全て、自分たちで、自分の仕事を探して、
そこがきれいになるまで徹底的にやる。終わったら次へ。
やらされているのではなく、自発的だから、どんどん作業が進む。
無駄口は一切なし。
私は、はじめ何をしていいのか全くわからなかったが、
よしと腹を決めて、見よう見まねでスコップ片手に家の中へ。


泥ってこんなに重いのか。
床をはがして、軒下まで流れ込んだ、ずっしりと水分を含んだ泥を集め、
ひたすらかきだしていく。
情けないけど、すぐに腰が悲鳴をあげる。
軍手をした手で、泥に混ざるガラス片を手早く取り除く。
わずかに残ったものの、もう使い物にならないものは全てとり壊す。
壁も、天井も。
トイレの便器だって、奥の奥まで泥が入り込み、
それらも全てすくい取る。
自分の家だったらと考えて、みんな妥協しない。

変わり果てた家。
ご家族だけでは、到底終わらないであろう、過酷な労働の連続。
精神的にも、辛くてできないだろうと思った。
スコップ団が必要とされている理由が分かった。


家の外では、運び出したゴミや瓦礫などの分別作業。
こうして分別できるようになったのも、復興の証だと聞いた。
以前は、ゴミを出す側にも、受け入れる側にも、
そんな余裕すらなかったのだ。


その分別表。
悲壮感を出さず、明るい感じがスコップ団らしい。
よろスコップ!


仙台市内で被災した4人家族も参加していた。
楽天イーグルスのキャップをかぶった小学3年の男の子は、
何度もよろめきながら、重たい泥を運んでいた。
彼の妹とお母さんは、ブラシを使って、汚れた仏壇をピッカピカに。
男女、年齢、県内外・・・
色んな立場の人が参加しているが、それぞれできることを見つけて、
ただただ一心不乱にやる。


そして、家の中の作業のゴールは、高圧洗浄機だ。
こびりついた泥や木くずやゴミやらを、ザザザザーーッと洗い流して、
床や壁はつるつるに。
すみずみまで目を光らせて仕上げていた。
大胆さと丁寧さが同居しているのがすごいと思う。
こうして、見違えるようにきれいになった自分の家を見て、
取り壊す予定だったのに、
もう一度住んでみようと考え直す人がほとんどだという。

被災地で、他のいくつかのボランティア団体にも参加経験のある人はこう言っていた。
短時間で、ここまできれいにできるスピードとチームワークは驚異的。
スコップ団ほど、達成感の得られるボランティアはないと。


印象的だったのは、スコップ団Tシャツの文字。
『FUCK SAIGAI』。
中心メンバーにも、家族を亡くした人、大切な仲間を亡くした人がいる。
だから、この言葉。心の叫びだ。
私たちは、山元町まで来て泥かきに参加しなくても、
こうしたグッズを買うことで、活動を支援することもできる。


日が暮れる時間が、その日のタイムリミット。
団長の、「うっす、解散!」という一言で、さっさと撤収。
これからどんどん日没時間は早まり、やがて雪も降る。
時間は限られている。
それなのに、辺りを見渡せば、
まだ手を付けられていない、ひどい有様の家が山ほど目に入り、愕然とした。


秋桜が揺れていた。
あれから7ヶ月が経つのに、何も終わってないんだと腹底から痛感した。
知っている気になっていて、ごめんなさい。

簡単に終わらないからあきらめる、のではなく。
ゴールが見えなくても、やり続けてきた。
あれからずっと。
心や体は、何度涙を流しただろう。
本当に頭が下がる思いだった。

この体験を、次につなげていきたい。


興味のある方は、まず、私が参加するきっかけにもなった、
団長ブログを読んでみてください。
リアルな現状と、活動の様子、スコップ団の想いがよく伝わると思います。

★スコップ団団長のブログ。
★スコップ団ホームページ。
★スコップ団事務局。
★糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」でのスコップ団特集。