ダイアログ・イン・ザ・ダーク(暗闇の中の対話)。
純度100パーセントの暗闇のエンターテイメント。
ご縁をいただいて、素敵なみなさまと。
かつてない種類の衝撃を感じたため、
しばらく頭の整理がつかなかった。
心に迫るものがたくさんあって、
深い深い余韻が続いている。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)とは、
一筋の光もない暗闇の中で、
様々なアクティビティを、
グループの参加者とともに体験するもの。
アテンドしてくれるのは、視覚障がいのある方。
つまり、暗闇のスペシャリストにサポートしてもらうのだ。
今回はカッキーが、
私たちの心強い味方になってくれた。
そのときによりテーマは様々。
今回のテーマは「コミュニケーション」。
森の中を歩いたり、
芝生の上で語り合ったり、
カフェでお茶したり・・・いろいろ。
私は正直、
最初にあたりが真っ暗になった瞬間、
ものすごく怖くて、クラクラしてしまった。
目を開けているのに、
こんなに暗い世界を体験したことがない。
最後までたどり着けるのだろうか・・・
頼りになったのは、
視覚以外の感覚・・・聴覚、嗅覚、触覚、味覚。
たとえば、
葉っぱがこすれる音、誰かの声、土の手触り、飲み物の香り、
人の体温など。
ありとあらゆる感覚を開き、フル動員して、
カッキーや周りのみなさんに助けてもらって。
なんとかかんとか進んでいった。
そして最後に!
思いがけないプレゼントが待っていた。
なんと暗闇の中で、「絵本」を読んでもらったのだ。
もう一人のアテンド、エバヤンに。
実は始まる前に、
DID代表の志村真介さんが、
「暗闇は自分の鏡になる」と語られた。
その流れで、私がよく話している、
「絵本は心の鏡になる」とお伝えしたのがきっかけ。
私が絵本セラピストだと知った志村さんの計らいで、
急遽絵本の読み聞かせをプログラムして下さったのだ。
それを後から知って、感激してしまったのだけれど。。
エバヤンが、点字の絵本を読み語り始めた。
それまでワイワイと賑やかだった私たち。
一瞬でしんとして、
一心に耳を傾けた。
なぜだかわからない・・・
「私は愛されている」って感じた。
母親のお腹の中にいるときって、
こんな感じなのかな。
子どもたちは、こんな風に、
母親の声を聞いているのかもしれない。
そばにいたカッキーの言葉も、胸を打った。
「小さいころ、
母親に絵本を読んでもらった楽しさを思い出した」
暗闇の中で、
絵本は、ひとの声は、
光のようだった。
あたたかく、
想像力にあふれ、
信じられないくらい、心を揺さぶられた。
声ってすごい。
誤解を恐れず言うならば、
見えないってすごいとも思った。
声の温もりを信じて、
人を信じて、
これからも絵本を読み続けたい。
ご一緒したメンバーの皆さんとは、
また訪問する予定。
お声かけ下さって、本当に有難かった。
DIDは、「目が見えないひとたちの状態を疑似体験するもの」
と思われることが多いそうだが、
それはきっとほんの一部。
薄弱な想像力を打ち破られる世界が、そこにはあった。
人間らしい感覚を研ぎ澄まし、
大切なことを思い出せる時間。
いまの自分を確かめるように、
繰り返し体験してみたい。