『くまさん』。
まど・みちおさんの詩に、
ましませつこさんが絵を描いた1冊だ。
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『くまさん』 詩 まど・みちお
はるが きて
めが さめて
くまさん ぼんやり かんがえた
さいているのは たんぽぽだが
ええと ぼくは だれだっけ
だれだっけ
はるが きて
めが さめて
くまさん ぼんやり かわに きた
みずに うつった いいかお みて
そうだ ぼくは くまだった
よかったな
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生涯を通して、
ありのままのすばらしさや、
じぶんを好きでいることの大切さについて、
数多くの作品で表現し続けたまどさん。
大人もはっとさせられる言葉に、
ましまさんのほのぼのとした絵が寄りそって。
早春の野山のにおいと共に、
愛らしいくまさんの生きるよろこびが伝わってくるよう。
この詩はあくまで、
”ぼく”を中心に進んでいくけれど。
絵本の表紙や裏表紙などには、
母ぐまの存在も描かれている。
そもそもくまは母子で行動するものだから、
ごく自然な表現だ。
それでも、
自己肯定の根幹に母親がそばにいるというのは、
絵本になったからこそ考えさせられたことで、
一層じわじわ沁みた。
もともと好きな詩だったけれど、
2017年に絵本化されてますます好きに。
さらに今春、
NHK Eテレの「いないいないばあっ!」で
この詩にメロディをつけたオリジナル曲が流れるようになった。
これがまたいい曲で・・・
ついつい口ずさんでしまっている♪
おさんぽ中にたんぽぽを見つける息子が、
詩の中のくまさんと重なってしまう。
わたしが好きな季節は晩秋だった。子どもができてからは、
春がくるのがより待ち遠しくなった気がする。
ここちよい気候で、
息子と外に繰り出し遊ぶことができるから。
そんな何気ない日々の中で願う。
息子には、
「ぼくがぼくでよかった」
と思えるような人生を送ってもらいたい。