『せかいいちのいちご』原画展に行ってきた。
(文:林木林/絵:庄野ナホコ/小さい書房)
一緒に伺ったのは、
「お父さんの絵本ガレージ」でお世話になっている、
oton+to編集長の布施太朗さん。
庄野ナホコさんの、
繊細で美しく、
かつ、
どこか切なくて、もの寂しさも感じさせる、
独特の世界観を持つ絵。
一枚一枚、
原画に惹き込まれた。
貴重なラフスケッチや、
赤字の入った校正紙なども展示され、
とても見ごたえのある展示だった。
いつも注目している。
”ひとりでよんでも
こどもとよんでも”
というテーマで絵本創りをしている出版社。
以前のブログにも書いた『二番目の悪者』など、
大人が深々とハッとさせられる作品が多い。
その『二番目の悪者』の作者2人による新作が、
『せかいいちのいちご』である。
*
ある日、
シロクマのところへ手紙が届く。
「いちご おとどけ いたします」
あの可愛らしい赤く輝く実のことを想像し、
どきどきしながら待つシロクマ。
そしてついに、
一粒のいちごが届いた!
シロクマは、
いちごの周りでダンスをし、
何度も見つめ、
枕元に飾って眠った。
それから毎冬、
数を増やしながら、
いちごが届くようになる・・・
ふえるとへる。増えると減る。
いちごが増えて、減ったものとは?
*
もっともっとと、
あらゆるものを求め、
足りすぎている時代に。
ついつい欲張りになるわたしに。
待った!をかけられた気分。
ピンク色の綺麗な表紙からは想像できなかった感触が、
じわりじわりと迫ってくる絵本。
木林さんと庄野さんに、
気になっていたことを伺ってみると、
忘れられない言葉が返ってきた。
ありがとうございました。
この日は「小さい書房のこれまで」というタイトルで、
安永さんにインタビューするというイベントだった。
テレビの報道記者から一転、
出版社を立ち上げた安永さん。
異色のご経歴に、
改めて感じ入りながら。
「出版社の大きい小さいに関係しない、
”1冊の本のチカラ”を感じている」
そう何度も語られていたのが、
とても心に残る夜だった。