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11/16/2018

『せかいいちのいちご』原画展

表参道の山陽堂書店で開かれた、
『せかいいちのいちご』原画展に行ってきた。
(文:林木林/絵:庄野ナホコ/小さい書房)
左より、庄野ナホコさん林木林さん小さい書房の安永則子さん。
一緒に伺ったのは、
「お父さんの絵本ガレージ」でお世話になっている、
oton+to編集長の布施太朗さん。





庄野ナホコさんの、
繊細で美しく、
かつ、
どこか切なくて、もの寂しさも感じさせる、
独特の世界観を持つ絵。
一枚一枚、
原画に惹き込まれた。

貴重なラフスケッチや、
赤字の入った校正紙なども展示され、
とても見ごたえのある展示だった。
ひとり出版社「小さい書房」が出版する絵本には、
いつも注目している。

”ひとりでよんでも
 こどもとよんでも”
というテーマで絵本創りをしている出版社。
以前のブログにも書いた『二番目の悪者』など、
大人が深々とハッとさせられる作品が多い。

その『二番目の悪者』の作者2人による新作が、
『せかいいちのいちご』である。

ある日、
シロクマのところへ手紙が届く。
「いちご おとどけ いたします」
あの可愛らしい赤く輝く実のことを想像し、
どきどきしながら待つシロクマ。

そしてついに、
一粒のいちごが届いた!
シロクマは、
いちごの周りでダンスをし、
何度も見つめ、
枕元に飾って眠った。

それから毎冬、
数を増やしながら、
いちごが届くようになる・・・

ふえるとへる。増えると減る。
いちごが増えて、減ったものとは?

もっともっとと、
あらゆるものを求め、
足りすぎている時代に。
ついつい欲張りになるわたしに。
待った!をかけられた気分。

ピンク色の綺麗な表紙からは想像できなかった感触が、
じわりじわりと迫ってくる絵本。
木林さんと庄野さんに、
気になっていたことを伺ってみると、
忘れられない言葉が返ってきた。
ありがとうございました。
この日は「小さい書房のこれまで」というタイトルで、
安永さんにインタビューするというイベントだった。

テレビの報道記者から一転、
出版社を立ち上げた安永さん。
異色のご経歴に、
改めて感じ入りながら。

「出版社の大きい小さいに関係しない、
 ”1冊の本のチカラ”を感じている」
そう何度も語られていたのが、
とても心に残る夜だった。