以前、「働くお父さんにおすすめの絵本」を紹介させて頂いた、
『朝日お父さん新聞 Otonto JOURNAL』。
編集長にこの絵本をおすすめしたところ、
去年12月号の「絵本、大人読み!」のコーナーにて紹介して下さった。
新聞と連動している、
『Otonto オトント~父と子の遊びサイト~』での紹介記事はこちら。
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『二番目の悪者』 林木林:作 庄野ナホコ:絵 小さい書房
金色のたてがみを持つ金のライオンは、
一国の王になりたかった。
自分こそが王にふさわしいと思っていた。
ところが、街はずれに住む優しい銀のライオンが、
「次の王様候補」と噂に聞く。
ある日、金のライオンはとんでもないことを始めた・・・
(以下、本文より引用)
誰かにとって都合のよい嘘が
世界を変えてしまうことさえある。
だからこそ、なんどでもたしかめよう。
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読後、1ページ目に綴られていた言葉が、
痛烈に刺さってくる。
―これが全て作り話だと言い切れるだろうか?―
物語には動物しか登場しないけれど、
まるで人間世界を見るかのよう。
誰かを貶めようと、巧みに行動する人。
それに気づかず、同調し流される人。
自分で確かめようとしない人。
全て気づかぬふりして保身に走る人。
こうありたくはないけれど、
人間はいつだって、表裏一体。
自分もいつの間にか、
そういう立場に居ることもあるのかもしれない。
それでも、自分の目と耳と心で確かめる、大切さ。
失いたくないものだ。
膨大な情報が簡単に手に入る世の中だからこそ。
悲しいニュースが多い今だからこそ。
物語に出てくる“銀のライオン”に会いたくて、
表参道の山陽堂で開催されている原画展に行ってきた。
凛とした佇まいの銀のライオンの前で動けなくなり、
どれくらいの時間を過ごしただろう。
ただひたすら、美しかった。。
痛みを優しさに変えてくれる絵があって、
こんなにも心に刻まれる作品なのだと思った。
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一冊目の『青のない国』に続いて、
またも人生の普遍的なテーマに挑んだ、「小さい書房」。
“大人向け絵本”を刊行するひとり出版社である。
代表の安永則子さんは、
元テレビ局記者から絵本のひとり出版社を立ち上げたという、
異色の経歴を持つ。
先日講演を聞きに行き、ご本人ともお話させて頂いた。
まっすぐ、かつ鋭く豊かな感性の人、という印象。
刊行絵本に通じるものがあり、納得だった。
『青のない国』『二番目の悪者』は、
絵本の森 グランチャにも、
おすすめ絵本として仕入れさせて頂いた。
大人だからこそ味わい深い作品だが、
いずれも「全国学校図書館協議会選定図書」になっている。
これから大人になる子どもたちにも、おすすめしたい。