『お父さんの絵本ガレージ』。
2019年度は、新企画をお送りします。
テーマは、お父さんのお悩みを絵本で解決!?
連載ページは→こちら。
この連載でご紹介した絵本は毎回、
神保町ブックハウスカフェの
『お父さんの絵本ガレージ』コーナーに並びます。
下記に連載内容を記しました。
ぜひご覧ください。
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【お父さんの絵本ガレージ】ともだち編「なんで友だちたくさん作るの?なんでいろんな子と遊ぶの?」
そう聞かれたら何て言う? 2019.6.14
今回から絵本ガレージは、
お父さんの想いや悩みに対して、
「この絵本なら参考になるかも」「この絵本だったら上手く伝わるかも」
という絵本を、
絵本専門士の近藤麻智子さんが選書するという企画
でいってみようと思います。
第1回は、こちら↓
「友だちをたくさん作ろうとか、いろんな子と遊ぼうとか
先生から言われるけど、なんでなの?」
という子どもの質問に、うまく答えることができません。
あらためて聞かれると、
なんか上手く答えることができないことってありますよね。
今回は30代、小3息子と小1娘のオトンからの友だちに関する質問に、
おすすめの絵本を2冊紹介します。
①『ともだち』文:谷川俊太郎 絵:和田誠 玉川大学出版部
父子一緒に考えよう
ともだちって何だろう?
子どもはまるで小さな哲学者ですね。人生で初めて出合う様々な疑問に、いつもまっすぐで真剣。だからこそ、大人が忘れかけていた大切なことに、ハッと新鮮な気づきを与えてくれます。親だって深く思いを巡らせてしまうこんな質問には、父子一緒に考えるきっかけをくれる絵本がおすすめです。
「ともだちって かぜがうつっても へいきだっていってくれるひと」。そんな一文で始まる『ともだち』は、作者である詩人の谷川俊太郎さんいわく、“ともだちとは何か”を多面的に定義した絵本。「ともだちって おかあさんやおとうさんにもいえないことを そうだんできるひと」「ひとりではできないことも ともだちとちからをあわせればできる」「すきなものがちがっても ともだちはともだち」。最後には、会ったことのない世界中のともだちにまで、 思考は広がっていきます。
幼い子にもやさしく語りかける言葉に、ユーモアとあたたかみを感じる和田誠さんのイラストが重なり、どのシーンも想像を掻き立てられます。表現が抽象的で自分の経験を投影しやすいのも、この作品の大きな魅力。読んだあとには、お父さんがともだちとの思い出を語るのもいいですし、もしかしたらお子さんが、ともだちとの意外なエピソードを話してくれるかも。
ともだちの数だけ多様な個性や価値観にふれることができ、そこから少しずつ、思いやる心や想像する力を育んでくれるはず……。うまく伝えるのが難しい人間関係も、くり返し読める絵本だからこそ、じわじわ届くことも。親子で楽しみながら、大事なことをそっと手渡せたら素敵ですね。
誰だって、ひとりでは生きていけません。幼児から大人まで、読む時々によって、印象に残るページは違うでしょう。きっと一生のともだちになってくれる1冊です。
②『みんながおしえてくれました』 作:五味太郎 絵本館
主人公の女の子は、様々な動物や昆虫たちから、それぞれの生態を活かした得意なことを教えてもらいます。「とびこえかたは いぬがおしえてくれました」「はなのかおりやあじのことは ちょうちょにおしえてもらいました」。後半のページには、「なにしろ ともだちがたくさんおりますから……」と書かれ、歌を歌う子、あやとりをする子、かえるをつかまえる子などなど、ともだちが勢揃い!素直で自由で吸収力抜群の子ども時代に、周りをよく観察し、いろんなともだちから教えてもらう楽しさが伝わってくる絵本です。こんな風にできたらなぁと、親こそ子どもに教えてもらうことがたくさんあるなと思いつつ。