今年も司会を務めさせていただいた、
ミシュカの森。
2000年末に起きた世田谷事件のご遺族であり、
”悲しみからの再生”をテーマに全国で講演活動をされている、
入江杏さんが主宰する追悼の集い。
様々な悲しみや苦しみに共感し合い、
犯罪事件とは直接関係のない人たちにも意味ある催しとして、
毎年多くの方々が参加してくださっている。
今年のゲストは、
小児科医で聖路加国際病院顧問の細谷亮太先生。
ご講演のタイトルは「子どもの命の傍らで」。
時々ユーモアを交えて会場を和ませながら、
闘病中の子どもやそのご家族とのエピソードを語ってくださった。
細谷先生は、
公益財団法人
「そらぷちキッズキャンプ」の代表理事も務めていらっしゃる。
北海道滝川市の自然の中で、
難病の子どもたちが過ごすことのできるキャンプだ。
辛く苦しい治療を一所懸命乗り越えようとしている子どもたち。
そんな彼等には、
きらきらと輝くような体験が必要なのだと。
ご紹介くださった写真から、
子どもたちのきらきらが伝わってくるようだった。
札幌テレビ時代に取材させていただいたことも、
懐かしく思い出された。
大自然のまばゆさの中で、
子どもたちは輝いていた。ほんとうに。
病気の子どもと話すときに大切なことも教えてくださった。
一番大事なのは「うそをつかない」こと。
うそは大人に対しての信頼感をなくすから。
病院での読み語り活動を始めたころから、
絵本をはじめ細谷先生の書籍を読んできた。
胸に留めておきたいお話を直接伺うことができたのは、
ありがたい機会だった。
当時8歳のにいなちゃんと6歳のれいくんも亡くなっている。
入江さんは葬儀の場で、
「こんなに小さいのに亡くなるなんて残念。無念だ。」と言われ、
その一言に抗う言葉をずっと探し続けたのだそう。
2人は幼くして大切な命を奪われてしまった。
それでも、家族と幸せに生きていた時間は、
確かに輝いていたのだから。
そんなときに出会ったのが、
「人生はその長短に関わらず全きもの(perfect)である」という言葉。
悲しみは愛しみ・・・
悲しんでもいいんだと伝える場をつくりたいと願っている入江さん。
その切なる思いが、
様々な立場で参加されているみなさんに響いていくようだった。
私自身も、病院で出会った子どもたちや、
大切な人たちのことを思い直す言葉になった。
細谷先生、入江さん、
学び多き時間をありがとうございました。
今回共催してくださった慶應大学社会学研究科佐久間研究室の、
佐久間亜紀先生を囲んで。
ミシュカの森でつながるご縁のすべてがあたたかい。
会の最後にはいつも、
ご自身の絵本を朗読してくださる入江さん。
子どもの命について想いを馳せたしめくくりにきく、
たまらなかった。。
事件解決はもちろんのこと、
悲しみと向き合うすべての人たちが、
できるだけおだやかに新しい年を迎えられますように。
*追記
年末に掲載された入江杏さんの記事をシェアします。
『世田谷一家殺人事件、被害者遺族の今 「助けが必要な人」から「助ける人」へ』